意外と似ている!?ヨルダンと日本の幼児語

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ある日、アラブ人の小さな女の子が車を指さして「シャイヤーヤ、シャイヤーヤ!」と言っているのを見ました。


アラビア語で車は「サイヤーラ」と言いますが、彼女は小さいので「シャイヤーヤ」と言ってしまうのです。
アラビア語と日本語の発音はだいぶ違っていますが小さい子にとってサ行が言いにくくてシャ行になってしまうのは共通のようです。まあ人の発声器官の構造はどの民族も共通なので当然ですね。


そうすると幼児語を研究することによって自然言語一般の音声に関する有益な知見が得られるのではないか、などという壮大な妄想が膨らんだりしますが、そんなことを考えているといつまでも記事にならないので今回は気楽にヨルダン人に教わったアラビア語幼児語をいくつか紹介します。

 

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幼児語についてちょっと調べていたら
『保育内容シリーズー人間関係』(監修:谷田貝公昭、編:細野一郎)
という本を見つけました。Googleブックスのプレビューで内容が一部読めます。この本によれば

一歳を過ぎると、一語発話がはじまる。初語の代表は、「パパ」「ママ」といった、pやmのような子音と母音が結びついた反復語である。これらの音は「唇音」とか「両唇音」とかいわれ、唇を一回閉じてまた開けばよいだけなので発音が簡単である。

とあります。(引用元はこちら)
確かに日本もヨルダンも幼児語は両唇音が多いです。
ちなみにこの本の著者はおそらく音声学の勉強をしていないと思われるので「『唇音』とか『両唇音』とか」などといい加減に書いてありますが、唇音は両唇音より上位のカテゴリで、唇音の中に両唇音と歯唇音が含まれます。歯唇音はfやvなど唇と下の歯を合わせて発する音です。歯唇音は発音がそんなに簡単ではないので幼児語で使われるのは両唇音であるというべきでしょう。
両唇音はmやpなど少ない音しかないので、外国でも幼児語はかぶりやすいと思われます。

 

ヨルダンの幼児語で水のことをンブーというそうですが、日本でも一部水やお茶などのことをオブーと言うことがあるという情報も見かけました。

車の幼児語も、どちらも擬音語から来ているのか良く似ています。

 

こういう風に、日本語と全然違う言語を使う地域でも幼児語は似ているかもしれないので調べてみると面白いんじゃないでしょうか。